二日目 観光バス・午前の部
>>Breakfast in cafeteria
旅先だろうがお構いなしで働く私の体内時計。マルタでもきっちり5時半に目が覚めた。(実際はサマータイムで1時間早いのだけど)今日は予約しておいた島内(イコール国内)周遊バスに乗って、この旅のメインテーマである遺跡群を訪れる予定。その前に、まずはスタミナ補給を。
一階のカフェテリアで、朝食。ルームキーが通行手形がわりだ。メニューは何の変哲もないイギリス式で、卵料理にハムやチーズ、そして焼きトマトにビーンズ。正直あんまり美味しくないが、自家製のヨーグルトは格別だった。濃厚でクリームチーズを溶かしたようなコクがあり、甘味を加えなくても充分いける。
あと、離島のゴゾ名産のはちみつ。メイプルシロップのような香ばしさがあり、アルコールのないラム酒を思わせるVery Goodなお味。これはハマってお土産にどっさり買い込んだ。写真の丸い容器、蜂の巣マークが特に美味しい。
>>Hop on hop off tour
腹ごしらえが済んだら、いよいよ出発。昨日、フロントでブッキングしておいた「Malta Sight seeing」というダブルデッカーのバス。これはヨーロッパ各地で走っている観光バスの一種で、それぞれ名所を巡るルートの中から、好きなものを選んでチケット(15ユーロ)を買えば、どのストップでも終日乗り降り自由というもの。さらに、車内に各国語(なんと日本語も)のイヤフォンガイドがあるため、車窓からの景色を見ながら観光も楽しめる。
公式サイト「Malta Sight seeing」
そんなわけで、近所の集合場所「プレルナホテル」で8時40分ピックアップを待ったわけだが、これが待てど暮らせど来ない(苦笑)外国のサービスは日本ほどきちんとしていないので、30分待ってホテルに戻り事情を説明したが「何ででしょうかね~」と、要領を得ない。仕方がないので、通りを走っていた同じマークのバスに突撃。「待ってるけど、来ないの。どうにかして」と、やや強硬な態度で迫ってみたところ、港の発着所まで送ってくれた。海外では図々しい方が勝ちだ。結局、ピックアップ場所がプレルナの入り口ではなく、道を渡った向こう側にあったからなのだが、ホテルのフロントは信用できないと学習。それ以後はすべて自分で直接コンタクトをした。
そんな事を考えているうち、バスはスリーマ港からマヌエル島を通過。ここはスリーマとヴァレッタの間にある湾に浮かぶ島で、陸とは橋で繋がっている。公園がある程度で特にティピカルな建造物などはない。バスも解説だけで通過し、首都ヴァレッタ界隈へ入る。
ヴァレッタへ入ると、途端に町の様子が一変する。さすが、街がまるごと世界遺産に登録されるほどの、独特の建築様式に圧倒されるが、宿泊先からここまでは目と鼻の距離。後日じっくり観光することにして、今日は車窓から景観を楽しみつつ、その先にある「Tarxien」(タルシーン)という遺跡を見学しに行くことにした。
>>The Tarxien temples
「タルシーン」とは何ぞや、という説明の前に、マルタが遺跡の島であるということを理解してもらう必要がある。ただし、歴史や考古学に興味のない人には退屈この上なしの解説となるため、以下の着色部分を飛ばして読まれることをおすすめしておく。
■ マルタの遺跡について
地中海の小国であるマルタには、世界の考古学者と冒険者を魅惑する古代の遺跡が、ここぞとばかりにひしめいている。土地柄、文明や宗教がクロスする地点でもあることから、なんとアトランティス説も浮上するほど。その貴重な遺跡群がマルタでは、野ざらし同然で保存され、環境客が間近で拝めるのだから、遺跡好きにはたまらない場所だ。
■古い!そしてすごい!
マルタの遺跡群が構築されたのは、今から約5,500年前の紀元前3,500年前頃。その頃、ヨーロッパには文明もなく、メソポタミア文明もエジプト文明もまだ起こったばかりの「世界のはじまり」において、なんとマルタではすでに大規模な石造建築が始まっていた。
その特徴は「巨石」が用いられている事であり、中にはトンに及ぶ重さの石も発掘されており、これを総じてマルタ島の巨石文明と呼ぶ。ただし、文字の発達していなかった時代だけに、建築目的や方法はわかっていない。ただし、多くの偶像が見つかっていることや、建物の構造などから、それらは神殿として使用されたというのが、有力説だ。
ちなみに、それから数百年を経てイギリスのストーンヘンジ、アイルランドのニューグレンジやフランスのブルターニュ地方のストーンサークル群が作られているが、関連性はまだ研究の途上である。
■観光可能な遺跡群
ハジャーイム・イムナイドラ・ミスア貯水タンク・タルシーン・ハイポジウム・聖パウロのカタコンベ・ジュガンティーヤ・タハージュラ・スコルバ・カートラッツ
今回はこのうち、タルシーンとジュガンティーヤを見学した。本当はもっと回りたかったが、あれこれとハプニングが起こり、残念ながら次回に持ち越すことに。
右がタルシーンの入り口。バスのストップでは「タルシーン&ハイポジウム」と、2箇所合体しているが、これはもうひとつ至近距離に「ハイポジウム」という地下遺跡があり、そこに行く人も同時に降りるからだ。
しかし「ハイポジウム」は、状態保存のため徹底的な管理がされており、見学できる人数に制限がある。特にハイシーズンは予約が殺到するため、私も2週間前にネット予約を試みたが、すでにフルブックだった。マルタで最も神秘的な遺跡と言われているだけに、残念。今度は予定が決まり次第予約を入れることにしよう。
さて、この「タルシーン&ハイポジウム」に限って、バスを降りてからの注意点をひとつ。とにかく道がわかりにくい、というより完全に住宅街の中にあるので、それらしい目印がないのだ。さらに悪いことに私の場合、イタリア人の女の子につかまってしまい、みんなと同じ方角に進もうとしたところを「あなたタルシーンに行くんでしょ!こっちよ、私さっきバスの中から看板を見たの」と、来た道を引き返して遠回りに付き合わされてしまった。たぶん、みんなと一緒に行ったら近かったと思うんだけれど…。看板を見つけて得意気になっている彼女を振り切るのは忍びなかったので、20分ほど一緒に歩いてあげた。
腹ごしらえが済んだら、いよいよ出発。昨日、フロントでブッキングしておいた「Malta Sight seeing」というダブルデッカーのバス。これはヨーロッパ各地で走っている観光バスの一種で、それぞれ名所を巡るルートの中から、好きなものを選んでチケット(15ユーロ)を買えば、どのストップでも終日乗り降り自由というもの。さらに、車内に各国語(なんと日本語も)のイヤフォンガイドがあるため、車窓からの景色を見ながら観光も楽しめる。
公式サイト「Malta Sight seeing」
そんなわけで、近所の集合場所「プレルナホテル」で8時40分ピックアップを待ったわけだが、これが待てど暮らせど来ない(苦笑)外国のサービスは日本ほどきちんとしていないので、30分待ってホテルに戻り事情を説明したが「何ででしょうかね~」と、要領を得ない。仕方がないので、通りを走っていた同じマークのバスに突撃。「待ってるけど、来ないの。どうにかして」と、やや強硬な態度で迫ってみたところ、港の発着所まで送ってくれた。海外では図々しい方が勝ちだ。結局、ピックアップ場所がプレルナの入り口ではなく、道を渡った向こう側にあったからなのだが、ホテルのフロントは信用できないと学習。それ以後はすべて自分で直接コンタクトをした。
港からようやく本来のルートに乗り換えて、いざ出発。日本語ガイドを取りあえず使ってみたけど、アルバイトのお姉ちゃんが「それでぇ~」みたいな口調で解説していて気持ち悪い。きっと留学生を使ったんだな。マルタは治安がいいので、日本から語学留学に来る学生が多いらしい。でも、マルタ英語は訛りがきついし、将来的にビジネス活用するならイギリスやアメリカで英語圏の文化ともども学んだ方が、よほど有利ではないだろうか。
そんな事を考えているうち、バスはスリーマ港からマヌエル島を通過。ここはスリーマとヴァレッタの間にある湾に浮かぶ島で、陸とは橋で繋がっている。公園がある程度で特にティピカルな建造物などはない。バスも解説だけで通過し、首都ヴァレッタ界隈へ入る。
ヴァレッタへ入ると、途端に町の様子が一変する。さすが、街がまるごと世界遺産に登録されるほどの、独特の建築様式に圧倒されるが、宿泊先からここまでは目と鼻の距離。後日じっくり観光することにして、今日は車窓から景観を楽しみつつ、その先にある「Tarxien」(タルシーン)という遺跡を見学しに行くことにした。
>>The Tarxien temples
「タルシーン」とは何ぞや、という説明の前に、マルタが遺跡の島であるということを理解してもらう必要がある。ただし、歴史や考古学に興味のない人には退屈この上なしの解説となるため、以下の着色部分を飛ばして読まれることをおすすめしておく。
■ マルタの遺跡について
地中海の小国であるマルタには、世界の考古学者と冒険者を魅惑する古代の遺跡が、ここぞとばかりにひしめいている。土地柄、文明や宗教がクロスする地点でもあることから、なんとアトランティス説も浮上するほど。その貴重な遺跡群がマルタでは、野ざらし同然で保存され、環境客が間近で拝めるのだから、遺跡好きにはたまらない場所だ。
■古い!そしてすごい!
マルタの遺跡群が構築されたのは、今から約5,500年前の紀元前3,500年前頃。その頃、ヨーロッパには文明もなく、メソポタミア文明もエジプト文明もまだ起こったばかりの「世界のはじまり」において、なんとマルタではすでに大規模な石造建築が始まっていた。
その特徴は「巨石」が用いられている事であり、中にはトンに及ぶ重さの石も発掘されており、これを総じてマルタ島の巨石文明と呼ぶ。ただし、文字の発達していなかった時代だけに、建築目的や方法はわかっていない。ただし、多くの偶像が見つかっていることや、建物の構造などから、それらは神殿として使用されたというのが、有力説だ。
ちなみに、それから数百年を経てイギリスのストーンヘンジ、アイルランドのニューグレンジやフランスのブルターニュ地方のストーンサークル群が作られているが、関連性はまだ研究の途上である。
■観光可能な遺跡群
ハジャーイム・イムナイドラ・ミスア貯水タンク・タルシーン・ハイポジウム・聖パウロのカタコンベ・ジュガンティーヤ・タハージュラ・スコルバ・カートラッツ
今回はこのうち、タルシーンとジュガンティーヤを見学した。本当はもっと回りたかったが、あれこれとハプニングが起こり、残念ながら次回に持ち越すことに。
右がタルシーンの入り口。バスのストップでは「タルシーン&ハイポジウム」と、2箇所合体しているが、これはもうひとつ至近距離に「ハイポジウム」という地下遺跡があり、そこに行く人も同時に降りるからだ。
しかし「ハイポジウム」は、状態保存のため徹底的な管理がされており、見学できる人数に制限がある。特にハイシーズンは予約が殺到するため、私も2週間前にネット予約を試みたが、すでにフルブックだった。マルタで最も神秘的な遺跡と言われているだけに、残念。今度は予定が決まり次第予約を入れることにしよう。
さて、この「タルシーン&ハイポジウム」に限って、バスを降りてからの注意点をひとつ。とにかく道がわかりにくい、というより完全に住宅街の中にあるので、それらしい目印がないのだ。さらに悪いことに私の場合、イタリア人の女の子につかまってしまい、みんなと同じ方角に進もうとしたところを「あなたタルシーンに行くんでしょ!こっちよ、私さっきバスの中から看板を見たの」と、来た道を引き返して遠回りに付き合わされてしまった。たぶん、みんなと一緒に行ったら近かったと思うんだけれど…。看板を見つけて得意気になっている彼女を振り切るのは忍びなかったので、20分ほど一緒に歩いてあげた。
そしてようやく到着したのが上の建物で、入り口に小さい机がひとつ、それが入場券売り場と売店のレジを兼ねる。6ユーロ払って中に入ると、そこは広場に石の衝立が立っているような光景で「ああ、ガイドブックで見たタルシーンだ」と思いつつも、「そう言われなければ、廃墟みたいな…」という感じ。
しかし、これはまぎれもなく有史以前の人々の築いた建造物であり、当時の人々も(これほど劣化していなかっただろうが)同じ場所で同じ風景を見ていたのかと思うと、熱くなってくる。
左の写真は、地面に掘られた穴の跡。地面に限らず、タルシーンにはこのような穴が壁などにも作られており、独特の様相を呈している。大きさは私の足がぴったり入ってしまう程度。
そして、ここで見逃してはならないのが、豊かな女性の下半身の像。風化したのか、破壊されたのか、ぱっつり下半身しか残存していないのが、また何ともミステリアス。テレビ番組でマルタの遺跡が取り上げられるときには、必ずと言っていいほど、この「ファットレディ」の石像が紹介される。
なんだか、自分の足腰を見ているような、すごい安定感があるけれど(笑)この時代の女性というのは、太っている方が美しいと考えられたそうで、現代でも社会の景気が良い、または安定しているときはふくよかな女性がもてはやされ、そうでない時にはスキニーな女性がもてはやされると、何かの本で読んだことがある。だとすると、この時代は生活が安定していたのか。それとも原始的に母体としての女性を崇拝したのか。言語が残っていないので、想像を膨らませるしかない。
しかし言語に変わるものとして、タルシーンには様々なものが残されている。ひとつは、彫刻として施された模様。これらは雲であるとか草であるとか、考古学者によって解明が進んでいるそうで、動物の絵の彫られた壁も随所に見られる。下図は牛が描かれた壁。
祈祷や儀式に使ったのだろうか、鉢や水がめも残っている。有史前のものがこんなにハッキリした形で残っているなんて、まさに奇跡。
←そして、そんな貴重な遺跡に触るバカタレ。絶対今夜ヘンな夢みるぞ(良い子は真似しちゃいけません)
まだまだ写真はあるけれど、遺跡マニアはここまで。今日は暑かったので、ちょっと木陰で一休み。マルタ独自の国民的ドリンク「Kinnie(キニー)」で水分補給を。お味は、うーん「ほろ苦い柑橘系」。アニス系の飲み物がオッケーな人なら好きだろうけど、ファンタ系に慣れてる人には無理かも。
そしてこの後、日本の恥をさらす大事件が…。なんと、来るときに延々と市街地をさまよって来たので、帰り道で迷子になってしまった(方向音痴)ひとり、降りたバス停の光景を思い出しつつ、炎天下をうろうろ…。
しかし悪運強しとはまさに私のことで、目の前になんと警察署が!飛び込んで事情を説明したら、100キロ級のおまわりさん達がよってたかってバス亭を探してくれて、その中のいちばん怖そうなオッチャンが自分の車を出してくれることに。(公務でなく親切ということ?)