エミレーツ航空

>>Emirates Airline

 今回は福岡から関空経由でドバイへ飛んだ。航空会社は初のエミレーツだ。近年、日本に乗り入れた会社で、金持ちドバイらしく最新エアバスを大量買いしたり、ハイテクを搭載して何かと話題になっている。

 チェックインカウンターから搭乗スポットまで、シャトルに乗っていくと、おお~、なんかアラブっぽいユニフォームのグラホさんが。外国のエアラインって、こういう文化の違いも楽しめてヨロシイ!
 ちなみに、この関空発は夜23時過ぎ出発なので、福岡の勤め人でも会社が終わってから国内線乗り継ぎで間に合う。あとは寝ていけるから、長丁場の便だと非常に楽だ。

 さて、いよいよ乗り込んで機内チェックタイム。まずはアメニティの内容をば。歯磨きセットにアイマスク、靴下(機内で日本人はスリッパだけど、外国人は靴下派が多い)、CAさんへのお知らせステッカー、それらが収納されるポーチ。ただしこのポーチは帰りの便ではもらえなかった。

 次は機内食メニュー。エミレーツでは、エコノミーでもちゃんとひとりずつメニューが配られる。ちょっといい気分。
 それが済んだら、エミレーツ名物ハイテクエンターテインメントパネル。これがすごい!


 各シートにテレビ、電源、USBポート、電話&キーボード兼用コントローラーが装備され、「テレビを見る」「映画を観る」「音楽を聴く」「ゲームをする」「買い物をする」「電話をかける」「メールを送信する」…以上が、すべて空の上でできてしまう!

 上記の機能は、 このコントローラーいっちょで網羅。今まで「携帯は電源落とせ~」と言われていた機内で、通話1分1USドル、メールも一通1USドルで送受信できるなんて、すごいことだ!

 さらには映画も600タイトル搭載。なんと、日本では封切館で上映中の「アリス・イン・ワンダーランド」が、英語&吹き替え両方で観られる仕様になっていて、隣のツアーのおばちゃんが「私、お金払うて見たやん!」とご立腹だった(笑)。日本語タイトルは少ないとはいえ、半日程度のフライトなら、飽きることなく楽しめそう。もちろん、音楽やゲームも映画同様に、キリがないほど積んであった。
 やがて機内食が終わってスリーピングタイム。まだ映画やゲームで盛り上がってる人が多いけど、とりあえず証明が落とされる…や、いなや!天井にプラネタリウムが映し出される。これ、けっこうロマンチック。

 この後、4時間ほどウトウトしたが、聞いていたとおりエミレーツの機内はけっこう温度低めなので、しっかり肌着を着こんで行って正解だった。座席のピッチは思ったより狭めで、ど平日の連休後にしてはイッパイイッパイ乗ってておどろいた。この前に乗ったブリティッシュエアはガラガラだったのに。

 ちなみに、エミレーツ航空では座席や機内の各所に封筒が置いてあって、手元の小銭を世界中の恵まれない子供たちに寄付できるようになっている。
 私もドバイから日本に飛ぶ便の中で、残ったダーハムとユーロを寄付してきた。お金の種類は何でもOK。封筒をCAに渡すだけなので、気軽にできるのがいい。
http://www.emirates.com/



>>in‐flight meals


 見たい人と、見てもオモロない人に分かれる機内食。往復分を一挙に並べてご紹介します。好きな方だけどうぞ~

右:日本からドバイ行き。メニューには「軽食」と書いてあった。

前菜:スモークサーモン、メイン:カワハギorビーフソテー、デザート:ラズベリームース、紅茶・コーヒー、希望者にはカップ麺

※私はビーフにしたが、となりのおばちゃんのカワハギ、あれはカワハギじゃなかった!英語でPacific Ocean Perch(カサゴの仲間)って書いてあるしw

左:朝食。上記の夜中の「軽食」からずいぶん間が空いた。

オレンジジュース、季節のフルーツ、メイン:ギンワレフーorプレーンオムレツ、クロワッサン、バター&ジャム、紅茶・コーヒー

※ギンワレフー(Silver warehou)、不気味だからオムレツにしたが、俵おにぎりの和食だったもよう。クロワッサン熱々で美味しい。普通のパンもついてくる。


 右:ドバイからラルナカ。時差と待ち時間の関係でもう一回朝食。

オレンジジュース、季節のフルーツ、メイン:マッシュルームオムレツor ブレックファストグリル、クロワッサン、バター&ジャム、チーズ&ビスケット、紅茶・コーヒー、普通のパン

 ※この前がオムレツだったので、今度はグリルにしてみた。肉と豆どっさりで、けっこうなボリューム!


左:スナック(ちょっとした軽食)

 ギリシャ風サラダ(フェタチーズが入ってる)とラム肉のラップサンドイッチ、ピーカンナッツのクッキー、ドライフルーツとナッツのパック

 ※完全に日本の匂いがなくなった感じ。ドライフルーツうまし。 



右:マルタからラルナカ。軽食

ベジタブルキッシュ、ローストビーフのロールサンドイッチ、季節のフルーツ、紅茶・コーヒー
※キッシュは熱々で美味しかった。飲み物は、マルタ発にはキニーが積んであるので、オーダーできる。
左:ラルナカからドバイ。しっかりとディナー。

ニース風サラダ、メイン:サーロインビーフステーキor チキンフェトチーネ、デザート:ハニーババ、チーズ&ビスケット、紅茶・コーヒー、チョコレート

※ビーフをチョイスしたけど、ステーキというよりシチューだった。ハニーババとは、蜜をかけたケーキみたいなお菓子。

右:ドバイから関空。一日あけて翌日の乗り換え便にて軽食。
そば、チキンカツとご飯、紅茶・コーヒー、チョコレート

※日本へ帰る便って必ず蕎麦か寿司が出るけど、正直いらない。和食が食べたかったら、世界中で食べられるのに、わざわざデレデレの蕎麦やカチコチのご飯を用意しなくていい。


左:朝食。あと数時間で日本、というところ。

季節のフレッシュフルーツ、メイン:和風or 洋風、クロワッサン、バター&ジャム、紅茶・コーヒー

※洋風をチョイス。チーズとトマトのオムレツ。和風はゆかりご飯とサーモン照焼。カチカチだと隣のインド人が嘆いていた(笑)

 以上、機内フードサービス。味はまあ外資系ライン平均というところだが、カトラリーが金属で袋入り、ホカホカのクロワッサンが美味しいという点は良いと思った。
 ただし、やはりイスラムの国の会社だからか、アルコールのサービスは「言えば出てくる程度」。搭乗後も欧米系のようにナッツの袋とカクテルワゴンではなく、いきなり食事のカートが回ってくる。もし、アルコールが飲みたい人は、紅茶かコーヒーか聞かれた時に、ついでに頼むべし。間違っても「ワインは赤白どっち?」なんて聞いてくれないし、おかわりもしにくくて酒飲みには辛い(TT)


ということで、次はドバイ空港に潜入編。



ドバイってどんな国?

>>Introduction

 2010年5月末からマルタ共和国に旅をしたのですが、航空会社がエミレーツだったので、ドバイ空港を経由(福岡→関空→ドバイ→ラルナカ(キプロス)経由→マルタという恐ろしく長いルートww)するついでに、ストップオーバーを利用して、ドバイを25時間ほどうろついて参りました。その記録(往復の空港、機内&市内散策)を書き残しておきます。
 
※ストップオーバーとは:http://bit.ly/cBqsZy(ウィキペディア)
 
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★全編クリックで写真が拡大できます★
 
>>Wonderland, Dubai
  ドバイという街の名前は有名でも、まず日本で知られていない、そのロケーション。なんとなく中東のどこかと思ってる人が殆どではないだろうか。
 
 そもそも「ドバイ」は国名ではなく(笑)「UAE(United Arab Emirates/ユナイテッド・アラブ・エミレーツ/アラブ首長国連邦)」の都市の名で、首都でさえなく(首都はアブダビ)、左の地図にあるように、ペルシア湾の南側にある、ちっこい港町だ。
 
 
 そんなドバイがなんで高級リゾートとして有名になったか。それは、市中を二つに分割するクリーク(運河)を生かし、積極的な貿易政策を行ったことと、外国からの移民の受け入れで街の規模を広げたから(ドバイ人いわく)。

 いまもドバイの居住者の大半は、近隣諸国や中国からの出稼ぎで占められる。タクシー運転手なんて、インド人ばっかり。ドバイらしさがない所が、かえってドバイらしいという、不思議な街なのだ。

 右の図は、ドバイ市街地の略図。海沿いに横長く発展を続けるのは、気温40℃を超える砂漠気候のためなのだろうか。テーマパークのようなショッピングモールに、宮殿さながらのホテル。道にはフェラーリやランボルギーニが連なり、海に突き出た人工島には、ベッカムやビル・ゲイツの別荘が建ち並ぶ。

 まるで砂漠の蜃気楼のような、バブリーな都市ドバイ。お金があれば究極の贅沢が味わえるが、そうでなければ暑いだけのコンクリートジャングル。その不思議の国、ドバイの一日を駆け足で体験してみた。日本とは価値観も文化も違う、夢のようなアラビアン・ナイトを、女一人旅でレポートしてみた。
 
 
 

五日目 Good bye , Malta !!

>>Scotts Super Marcket

 今日はいよいよ最終日。午後1時に迎えの車が来るまで、お土産の買い物と散歩に出ることにした。何度か港の近くのタワーというスーパーには足を運んだが、今日はスコッツという店へ。タワーは4階建てで販売面積が広いが、こちらの方が生鮮食料品とデリは圧倒的に充実している。途中、親切なおばあちゃんが「あなたドコ行くの?」と付いてきてくれて、最後までマルタの優しさを感じた旅だった。

◆では、買ったお土産イッキに紹介。(他の店で買ったのもあり)

 左はツナのスプレッド。ホテルの朝食で大きなボウルにどっさり出ていた。実はマルタはマグロの一大漁場で、その殆どが日本に輸出されている。味はサワークリームとハーブ風味。
 右はバニラやカラメルの味がする、絶品ゴゾハニー。これは小さなポーションだけれど、ちゃんと瓶詰めも買ってきた。最高のお味!


 左の2点は、乾燥ポルチーニと固形のグレイヴィーソース。こういうものって、日本で買うととても高いけれど、さすがこちらでは生活価格。
 特にポルチーニは1500円相当と思われる量が350円程度。これなら、パスタやリゾットにも気前よく使える。グレイヴィーはクノールの域を出ないが、家庭料理には十分な風味だった。

 こちらもクノール製品。私が旅に出ると必ず大量に買って帰るインスタントスープの類だ。こういうものは土地柄が出るので、同じクノールでも種類が大きく違う。
 マルタのものはMade in Itaryだったので、たぶんシチリアでも同じものが売ってあるだろう。今回ゲットした中で珍しいのは、オックステール、そしてコリアンダー。前者は想像通りの味だったが、コリアンダーはかなり個性的。肉料理のソースとして、ポテトと一緒にいただくのが良いようなパンチの効いた味だった。



 もうひとつ、海外に行くと必ず買い込む歯磨きやマウスウォッシュ。日本と比べてオーラルハイジーンが徹底されている欧米では、歯磨きコーナーの気合が違う。今回は10種ほどゲット。
 右はライムストーンにマルタクロスが彫られた小物入れ。使ううちはちみつ色になるそうだ。

 こちらもマルタ記念品。博物館のショップで買ったマルタ騎士団のボールペン。甲冑を着ている騎士が棒状になっているというキモさが良い(笑)持つと重いし、ほとんどインクも出ないが、文具好きなので見つけるとつい買ってしまう。
 右はイムディーナの路地裏のガラス工房で見つけた、ワインボトルのストッパー。独特のイムディーナグラスは、どこかベネチアのガラス製品にも似た雰囲気がある。母にも色違いをプレゼントしたのだが、非常に喜んでくれた。指輪やペンダントトップなども、欲しかったが予算が…(笑)

>>Sakura lounge at Preluna hotel


 さて、買い物を終えた後は、最後にスリーマの海岸線を散歩。何度となく通ったこのタワーロード。時間によって全く海の表情が違うので、そのたびに楽しませてもらった。ベンチに座り、ジェラートでひと息。本当にきれいな海と青空だ。

 近所をぶらぶら歩いていたら、教会があるのを発見した。その向かいには小さな雑貨屋さんや揚げパン屋さんなど…

 もっと近隣を散策しとくんだったと思っても、すでに出発間近。ヨーロッパは表通りより裏通りのほうが、実は素敵が隠れているのかもしれない。




 ランチは、プレルナホテルの一階にある「サクラ・ラウンジ」に行ってみることにした。ここは日本の職人を雇っているのが売り物みたいで、ビルの壁にでかでかと「SUSHI!」みたいな恥ずかしいサインボードを出しているので、本当は同じホテル内のイタリアンに行こうと思っていた。しかしそちらが準備中という事で、仕方なく。

 ところが入ってメニューを見たら、けっこうまともなイタリアンのカフェ飯があれこれ。デリのショーケースからも選べるし、もちろん「よかったらスーシーいかが」もある(笑)

 私がオーダーしたのは、ホップリーフという地ビールと、アランチーニ(ライスコロッケ)。下手に頼むとまたとんでもない量が出てくると思って控えたが、1個で正解。見ての通り、巨大なブツが登場した。値段はわずか2ユーロ程度だが、洋ナシの形をしているのが何ともお洒落!

 さて、お味は…とナイフを入れると、ザクッと音がするほどクリスピー。薄味のカレー風味のライスの真ん中でモツァレラがとろけ、ハーブの香りがふわり。予想外の美味しさに、すっかりご機嫌になってしまった。

 さらに、ホップリーフもチスクより焙煎香が強く、味もしっかりしてなかなか美味しい。苦味も強いが、かえってそれが私好みで美味しくランチをいただいた。もちろん、海が見える席に陣取ったのも、旨みを増幅するスパイスになったことは言うまでもない。

 ビールとあわせてチップ込みで5ユーロのカジュアルランチ、堪能したらいざ空港へ。


  帰りのマルタトランスファーは、じいちゃんドライバーが空港まで送ってくれた。普通のワゴンで貸切だったので、途中色々と話をしたが「俺は生まれてこの島から出た事がないよ。日本なんて場所もよくわからない」と言っていたのが印象的だった。

 飛び立つ翼越しに、最後にマルタにありがとうを言った。はちみつ色の建物と暖かい人たち、そして美しい海と空に、いつかまた会いに戻って来たいと思える、素晴らしい旅だった。

Fin

四日目 世界遺産の街へ(新都ヴァレッタ・後編)

>>The Armoury and Grand Master's Palace
 一息ついて向かったのが、大聖堂の先にある「騎士団長の館」(Grand Master's Palace)。ここはマルタ島が騎士団に統治されて以来、グランドマスター(騎士団長)が政治の指揮を執った、いわばマルタの首相官邸みたいな施設であり、数々の重要な対談や会議も、ここで行われてきた。

 もともとマルタの騎士団は、聖ヨハネ騎士団としてエルサレムの修道会から興ったもので、それがオスマントルコの勢力から逃れて地中海を渡り、シチリア王から鷹一匹を代償に、マルタ島を与えられたという(ずいぶん省略しているが)歴史がある。

 そう言うと、マルタの島民にとって侵略者のように聞こえるかもしれないが、実際はそれまで海賊や外国からの侵攻に怯えていた島で、搾取ではなく統治を行った騎士団は、今も大変尊敬されている。

 きっと国民にとっては、外部から軍隊を引き入れたみたいなものだったのだろう。現在の首都「ヴァレッタ」も、初代団長「ジャン・ド・ヴァレット」にちなんで名がつけられたという。


 騎士団長の館は、そんな歴史がぎっしり詰まった展示施設。入場料は10ユーロと若干お高いが、邸宅と武器庫(こっちがすごい)共通のチケットなので、たっぷり見学できて充実感がある。特に、私は何を隠そう武器マニアで、ずらりと並んだ古武器や防具にゾクゾクしながら、エキサイティングなひと時を過ごした。

 まあ、広い体育館みたいな部屋に、あるわあるわ。甲冑から大砲からサーベルから、ありとあらゆる武器が、素晴らしい保存状態で並んでいること!











 馬の兜や具足ならぬ鉄ブーツなどという、レア防具もあったりして、好きな人にはたまらない世界。また、手を伸ばせば触れる所に、囲いなしで大砲が置いてある。その数、優に20門は超えていたはず。さらには、鎖帷子のようなアンダーシャツもあり、考えることは世界共通かと納得。

 しかし何より驚いたのは、その手入れの良さ。サーベルやフルーレは、刃が立ったままピカピカに研いであり、今すぐにでも戦闘体勢に入れるコンディション。ステンレスがない時代の鉄武器が、ここまで保存されているのを見ると、ヨーロッパの湿度の低さや、石造建築の恒温性を改めて羨ましく思ってしまう。


>>Upper Barracca Gardens

 騎士団長の館を出てリパブリック通りを引き返し、いよいよ午後のメインである旧都イムディーナへ。その前に、バス乗り場へのルートをちょっと回り道して、「Upper Barracca Gardens(アッパーバラッカガーデン)」へ立ち寄り。

 ここは、バス乗り場の南東にある公園で、ヴァレッタで最高と言われる海の眺めが楽しめる。地元では夜のデートコースとしてもおなじみなんだとか。

 途中で念願のジェラートを買って歩きながら公園内へ。今日は日差しも強いし、冷たいものが美味しい。

 とは言え、着ているものは長袖。こっちの気候はうっかりすると、風と日照の具合で真夏でも震えるほど。ヨーロッパ人を真似してキャミ一枚で出歩くと、うっかり風邪をひいてしまう事もあるので上着は必携。

 写真上の馬車が並ぶ入り口を抜け、公園の中へ入るとまずは植え込みの遊歩道があり、次に少し広々とした広場に出る。やがてアーチ型の柱廊が見えて来たら、その先には海が広がる。ヴァレッタの対岸、今朝船で渡ってきたスリーマや、はるか向こうにセント・ジュリアンも。まさに絶景とはこのこと。





 その現地の空気を楽しんでいただきたく、パノラマの動画をアップ。手回しのオルゴールから流れてくる、いかにもヨーロッパ的な音楽も、旅の風情として感じていただければ幸いだ。


>>Mdina-1

 さて、いよいよマルタバスに乗って、旧都「Mdina(イムディーナ)」へ。朝、見かけた黄色いマルタバスが、ヴァレッタ遷都以前、この国の都であったイムディーナへ向かう唯一の公共交通機関だ。

 ちなみにマルタバスは、なんとトトロに出てきた猫バスのモデル。今回の旅では初トライなので、やや緊張して乗り込んだが、じーちゃんやおばちゃんが助けてくれて、バス停の看板さえないのに、難なく目的地に到着。(ただし手前に「ようこそイムディーナへ」の英語サインボードあり)

 さて、この旧都も新都ヴァレッタと同じく、外敵の襲来に備えて城塞都市であることは言わずもがな。降りてガイドブックを頼りに、この橋を渡って城壁内に入ろうとしたそのとき、今回の旅でいちばんの椿事が起こった。

 そう、なーんとナンパされたのである。この私がだ(笑)
 とは言っても、年のころなら還暦過ぎのプチおじいちゃま。

「こんにちは。ジョセフといいます。地元の人間なのですが、よかったら観光案内させてください」

「ガイド料金はお支払いできませんよ」

「とんでもない、私がお供させていただきたいだけです」

 帽子を取ってお話する英国式のマナーから、おそらく客引きや悪質なナンパではなさそうだと判断したので、理由を聞いてみると、やはり仕事を引退して暇なので自主的にボランティアをしているらしい。リタイアが早いヨーロッパでは、こういう人生を持て余している方々は多いのだろう。

 ただし「若い女性だけ。私もそこまで親切じゃない」なのだそうだ。日本で言えば、私など若くはないのだが、こっちではお嬢さんで通用するらしい。それに気をよくしてガイドをお願いしたのだが、これが脱線の元だった…

 なにしろジョセフ氏、「自分が説明するからガイドブックをしまえ」、と日本語の解説を読ませてくれないし、決めていたルートも「そこは見ても面白くないよ」と、マルタ人から見たおすすめコースを強引にすすめていく。よって、初めてイムディーナを訪れた外国人には、いささか調子の狂う観光になってしまった。

 しかし最後に「じゃあ、ここへどうぞ」と連れてこられたのが、「カフェ・フォンタネッラ」。ここはもともと来ようと思っていたので、好都合だった。ただ、その前にゲートの近くにある「リストランテ・イムディーナ」でランチを取る予定だったので、スケジュールは大狂い。この時、時刻はすでに2時。おなかペコペコのまま、お茶に突撃する羽目に。

 「カフェ・フォンタネッラ」はマルタの数少ないガイドブックにも登場する、観光地の人気店。城砦の中の高台から景色を眺めつつ、お茶が飲めるという趣向だ。石造りの入り口から入ると一階席もあるが、左手の階段から上がった二階席が眺めがいい。

 客は8割がイタリア人観光客のようだ。さて何を頼むかという段になり、ジョセフおじさんおすすめの「マルティーズコーヒー」にトライしてみることに。

 ←これが、その「マルティーズ(マルタ風)コーヒー」。「アニセット(アニス酒)は大丈夫?」と聞かれただけあって、けっこうアルコールが効いている。コーヒーというよりはカクテルの一種だと思ったほうがいい。見た目を裏切る暖かいコーヒー+大量の生クリーム。味ははっきり言って「まずい!」の一言だが(笑)観光の記念に試してみるのも一興だろう。


  カフェでは、ジョセフさんから色々と楽しい話が聞けた。マルタの産業のことや歴史のこと。彼は現役の頃は政府の機関に勤めていたそうで、EU加盟とは言っても、イギリスの属国に近いマルタの発展の遅さに「うんざりするよ」と苦笑いしていた。

 観光客から見ると、その素朴さがマルタの魅力なのだが、住んでる人には不便も多いのだろう。お気楽に観光に来ているだけでは感じられない、居住者の意見を聞けただけでも、ジョセフさんと話ができて良かった。最後までジェントルマンのジョセフさんに、ありがたくご馳走になり、この後はさっき行きそこなった聖堂や街のあちこちを探検に。


>>Mdina-2

 さて、いよいよ本番。まずは聖堂から。

 ジョセフさんが言うように、ヴァレッタの大聖堂と比べれば、本当にささやかな施設だとは思うけれど、それでもヴァレッタに遷都されるまでは、かつての都の象徴であった教会なわけで、やはりここは見ておくべき。

 教会の入場チケットはとなりの博物館の受付で購入。二館の共通券となっている。まずは、聖堂の内部へ。




 面積は、ヴァレッタ大聖堂の半分もないだろう。しかし、それでも中世の教会らしく、精一杯の思いで職人たちが捧げたアートが設えられている。床のタイルの下が墓所になっているのも、同じく。

 この日は地元の方々が正装して集まっていた。何か儀式が行われているようで、あまり邪魔になってもいけないので、一回りしたら博物館のほうへ向かうことにした。

 ガラス張りのエントランスが素敵な博物館は、とても静かでモダンなムード。ここは主に旧都時代の王家や貴族の家財、装飾品が展示してあるらしい。特に銀製品の種類が豊富で、高さ1mはあろうかという銀の大きな杯であったり、銀メッキの彫刻であったり、非常に華やかだ。

 中でも興味をそそられたのが、銀食器のコレクション。ヨーロッパでは、銀器や陶器は代々、先祖から譲り受けたものを磨いて使う土地柄だけに、古いものがきれいな状態で残っている。

 新品を買うと、カトラリーだけで数十万円もザラな装飾銀器だが、ドイツの友人いわく「蚤の市に行くと、欠品のあるセットなら、5万円くらいよ」とのこと。 機会があれば、そういう骨董を探して歩くのも、ヨーロッパらしい楽しみ方だろう。

 最後は、路地を探検し、ガラスや小物をしばし物色。このイムディーナは数十人しか人口がなく、それも元貴族や特権階級に限られているため、猥雑な人通りがなく「静寂の街」と言われている(ただし観光スポットには人が多い)

 写真は、一歩裏通りに入った路地の風景。ふとデジャヴを感じてしまうのは、きっと私だけではないはずだ。


>>Dinner at Mint
 そうこうしているうち、時間はもう4時。すっかりランチを食べ損なってしまったが、イムディーナでディナータイムまで待つのもどうかと思い、スリーマへ帰ることにした。

 マルタバスでヴァレッタまで戻り、ふたたび船に乗ってスリーマ港へ。土産物屋で小物入れやリキュールを買っていると、もう6時前になったので、ホテルに戻ってシャワーを浴び、着替えて外に出たらディナーの時間。

 今日はアメリカ人観光客に人気が高いというデリ・レストラン「Mint」に行ってみることにした。

 場所は海岸沿いをセント・ジュリアンの方へ向かって、道が4つに分かれるポイントの左手。オープンカフェみたいなテラスがあり、その奥の店舗にガラスのショーケース。中にはボリュームたっぷりの惣菜やパイ、デザートが並んでいる。いやはや、その大きさときたら!

 このラザニアのサイズを見て欲しい。優に豆腐2丁分はあるに違いない。ケースから出したのを、わざわざマイクロウェーブとオーブンで焼きなおしてくれる丁寧な仕事だが、軽く二人前。そしてどっさりサラダがついてくる(ポテトでなくて良かった)
 



 結局、食べられたのは半分強とサラダのみ。本当は名物のチョコレートブラウニーを食べたかったけれど、とても無理。ちなみに、お味は悪くなかった。日本人には少し薄味かもしれないが、ハーブが効いた上品なラグーで、焼き加減もナイス。数人で行く方々には、おすすめできる店だと思う。

 この後はホテルの地下にあるジャグジーに入って、明日の出発の準備。あっという間のマルタ滞在だった。明日の午前中はスーパーに行ってお土産を探さないと…。




















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